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「腰痛」
慢性腰痛には運動療法も有効
甲西リハビリ病院 脳神経外科 医局長 
小泉 徹 氏

甲西リハビリ病院 脳神経外科 小泉 徹 氏

 腰痛の診断について。

 腰部の痛みだけでなく、立ち座りや寝返りがつらい、臀部(でんぶ)や下半身の痛みやしびれなどの症状がみられるものもあります。数日で治まる急性腰痛症から、痛みが数カ月以上続いたり、繰り返したりしている慢性腰痛症までさまざまです。レントゲンやMRIなどの検査で圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、すべり症といった明らかな原因が判明するものもありますが、これらの検査でも明らかな原因が特定できない非特異的腰痛が約8割を占めるといわれています。その多くは加齢や不適切な姿勢を長く続けるなどによって引き起こされています。

 治療は。

 まず腰痛の原因を正確に診断し治療の計画を行います。急性の腰痛は鎮痛剤やブロック注射が有効なことが多いです。慢性腰痛に対してはこれに加えてリハビリテーションなどの運動療法や、心理学的な治療である認知行動療法が有効とされています。医師だけでなく理学療法士など複数の専門家が連携し、一人一人に最適なメニューを作成し治療にあたることが大切です。原因や症状の程度によっては手術を行う場合もあります。

 注意することは。

 痛みが続いて生活に支障を来したり、痛みで仕事に集中できないことが月に数回あるようなら受診をお勧めします。コリや痛みを取るためのマッサージや整体などは逆効果になることもあるので必ず専門医に受診し相談の上で受けるようにしましょう。まれではありますが、尿路結石や大動脈瘤(りゅう)、がんなどの重篤な病気が隠れている場合もあるので、自己判断せず受診して検査を受けることが大切です。原因にもよりますが腰痛の予防や緩和のためには、日頃からストレッチや腰痛体操などに取り組んで腹筋や背筋を鍛えるようにしてください。

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