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3.整形外科(2)
太極拳と健康
京都府武術太極拳連盟 理事長
 渡部 健一 氏

京都府武術太極拳連盟 理事長 渡部 健一 氏

■ 太極拳の特徴とは

 太極拳は中国武術の一種です。体をゆっくり動かすというイメージを持つ人が多いですが、武術なのでキビキビ動いたり、剣など武器を使うこともあります。さまざまな動きがあるため、老若男女、体力のあるなしに応じて個々のペースで取り組めます。やってみると意外に体への負荷は大きいものの、ハードな運動に比べてしんどくはなりません。だからこそ誰でもすぐに始められ、長く続けられるのです。太極拳は「運動気功」と呼ばれており、身体に気を巡らせることを意識して行います。体には気というエネルギーが巡っており、その通り道である経絡の流れを良くすることでより健康でいられるといわれています。

■ 体にもたらす影響

 太極拳で一番大切なのは、どの動作も均一に行うことです。動きに強弱や勢いをつけることなく、常に一定の力加減と早さで動かします。柔らかい動きでも休むことなく均一に続けることで体温が上昇し、内臓の活発な動きを促します。筋力維持が期待でき、高齢者の転倒防止にも役立ちます。また、ゆっくり呼吸しながら体を動かすと肺活量が鍛えられ、息切れしにくくなります。こうして体の調子が良くなるとストレス解消にもなり、動作の中で頸椎(けいつい)・仙骨が緩むと副交感神経が活性化し、自律神経が安定し精神的にもリラックスできると思います。また、太極拳の動作の中で求められることを「要求」といい、要求を一つ一つ自分の中で確かめ、目線や手足の動きなどを反すうしながら意識して動かすと、自分の体と対話することになります。これは、記憶力向上につながる可能性があると思っています。

■ 自分でできる方法は

 日本で最も普及しているのは24式太極拳で、套路(とうろ)という開始から終了までの動作が24式あります。すべて覚えるのは少し大変ですが、週1回ペースで2、3カ月もあれば覚えられこのあたりから面白くなってきます。日常の中で太極拳を取り入れられる動作としては両手を前に上げていき、肩と水平に上げて下ろす動作をゆっくり同じ速度で行います。また、階段を一段一段そっと降りるのも、支えている足の筋肉が鍛えられ、良い動きです。体の衰えはまず足腰からくるので、普段の姿勢に気を付け意識してゆっくり動かすこと。ただ、太極拳の動きは見ただけでは分かりにくいので、最初は教室に習いに行くのがよいと思います。太極拳に興味を持たれた方は、当連盟に連絡いただければ最寄りの教室をご紹介します。京都府武術太極拳連盟075(662)2662。

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