もっと知りたい京都の病院
Q&A 専門の医師がお答えします
「分娩」
合併症あっても妊娠継続も
京都桂病院 産婦人科 部長
岩見 州一郎 氏

京都桂病院 産婦人科 部長 岩見 州一郎 氏

 分娩(ぶんべん)に対する取り組みは。

 日本は周産期トラブルが最も少ない国の一つで、出産は母子ともに元気であることが当たり前かのように思われています。しかし、近年は平均出産年齢が30歳を超える高年齢化に伴い、合併症のある妊婦や帝王切開分娩が増えています。合併症には、子宮筋腫や卵巣嚢腫(のうしゅ)などの婦人科疾患や、甲状腺機能異常・糖尿病・ぜんそく・膠原(こうげん)病・循環器疾患などがあります。程度によりますが、合併症があっても多くの場合は妊娠を継続でき、総合病院では他科と連携しながら安心安全な妊娠・分娩をサポートしています。出産後は、早産児・低出生体重児などは小児科、メンタルケアは精神科などと連携し対応しています。予定日を過ぎても陣痛がこないときは陣痛誘発を行うことがあります。母体や胎児に危険が及ぶほどの難産は緊急帝王切開分娩を行い、前置胎盤・骨盤位(逆子)・多胎の多くは予定帝王切開分娩を行います。第1子が帝王切開分娩だった場合は、第2子以降も同様になります。

 妊婦健診は。

 妊娠初期は1〜2週ごと、23週までは4週ごと、24週〜35週までは2週ごと、36週以降は1週ごとに妊婦健診をします。健診時は毎回、血圧・尿・体重を測り、胎児・子宮口の状態を調べます。さらに、初中後期に血液検査・子宮がん検査・細菌検査など必要な検査を行います。

 妊娠中の注意は。

 規則正しい生活が重要で、偏った食生活や夜更かしは禁物です。エネルギーとなる炭水化物に加えてタンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランス良く含む食事が大切です。たばことアルコールは胎児に悪影響が出るので摂取しないでください。過度な体重増加は妊娠中のトラブルにつながる場合もあり、標準体型であれば7〜12キログラムの増加が目安です。

(c) 2002-2020 The Kyoto Shimbun Newspaper Co.,Ltd.