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「ESD(内視鏡的粘膜下剥離術)」
臓器温存、治療負担も少なく
草津総合病院 消化器内科・内視鏡センター長
伴 宏充 氏

草津総合病院 消化器内科・内視鏡センター長 伴 宏充 氏

 ESDとは。

 胃カメラや大腸カメラを使って病変を切除する内視鏡手術で、病気の浅い食道がん、胃がん、十二指腸がん、大腸がんが適応となります。病変の周囲にマーキングし、病変の下に薬剤を注入して浮かせ、専用ナイフで剥ぎ取ります。切除した病変は内視鏡で取り出し、病気の大きさや深さを検査します。ESDでは病変の大きさに変わらず内視鏡を使って切除することができます。低侵襲な手術のため比較的幅広い年代の方に受けていただけます。

 長所は。

 臓器を温存できることが最大の長所です。臓器を温存できることにより、治療自体の負担も少なく、また術後の生活の変化もほとんどありません。多くの患者に術前と変わらない生活を送っていただいています。技術的な面では、以前から行っていた輪っか状の電気メスを病変部にかけて切除するEMR(内視鏡的粘膜切除術)に比べて、より広範な病変や治療が難しかった部位にも対応することができます。入院期間は1週間程度です。手術した患部は、およそ1〜2カ月で治ります。術後は定期検査を受け、ケアをしていくことが大事です。

 予防について。

 胃がんの最大の原因であるピロリ菌は、除菌治療をすることで胃がんの発症リスクを下げることが可能です。若いうちに除菌治療をすることで、予防効果はさらに高くなります。また、現在日本では大腸がんの発症数が増えています。大腸がんの前段階のポリープを切除することで大腸がんを減らすことが可能です。早期に発見し、早期に治療することが大切です。成人すればピロリ菌の検査を、50歳になったら大腸カメラの検査を受けることを推奨します。

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