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「パーキンソン病」
薬物・運動療法の併用が大切
JCHO滋賀病院 脳神経内科部長
川合 寛道 氏

JCHO滋賀病院 脳神経内科 部長 川合 寛道 氏

 パーキンソン病(PD)とは。

 頭の中の神経調節物質であるドーパミンが減少して、体を円滑に動かすための指令が伝わりにくくなる病気です。高齢化に伴い罹患(りかん)率が増加し、現在は千人に一人がPDと診断されています。好発年齢は60〜70代ですが、若年層で発症する方もいます。

 症状と診断は。

 代表的なものとしては、最初の一歩が出ない(すくみ足)、手足が震える(安静時振戦)、動作が遅くなる(寡動)などの症状があります。日常生活の中ではボタンが留めにくい、ひげそりや歯磨きがしにくい、小銭を財布から出しにくいといった症状もあるかもしれません。またPDの前触れとして嗅覚の低下や、レム睡眠行動異常(大きな寝言を言って暴れる)、うつなどが見られることもあります。診察で、寡動、振戦、筋強剛(筋肉の緊張が高まっている状態)、姿勢反射障害(体のバランスがうまく保てない状態)の四つの所見のうち2項目以上があればPDと診断します。最近はDATスキャンという検査で早期から脳内のドーパミン減少を発見できるようになりました。思い当たる節があればかかりつけ医に相談し、脳神経内科へ紹介状を書いてもらってください。

 治療は。

 ドーパミンの不足を補うレボドパの服用が中心で、外科的に脳の深部に電極を埋め込んで刺激をするDBS(脳深部刺激療法)を行うこともあります。症状が進行するスピードは人により異なりますが、早期から適切な薬物療法と運動療法を併用することは大切です。軽症のころから自分の症状に合った運動療法をセラピストと相談しながら継続すれば、レボドパ長期使用に伴うトラブルを軽減できるかもしれません。

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