「教養図書案内」通信

「教養図書案内」に関連した情報をお届けします。

(2023.09.20)50年記念企画「一冊入魂フェア」

「教養図書案内」の50年を記念して、「今月の書籍情報」で紹介している各出版社の1書目について、発刊に携わった編集者によるいちおしコメントでさらに深堀りします。

災害復興学事典

これまでに研究者・実践者が積み上げてきた災害復興に関する理論と復興支援の実践を、見開き2ページで平易に解説する、項目読み切り形式の事典です。多彩な執筆陣により、幅広い学問領域からのアプローチでハード・ソフト両面からの復興を取り上げました。国内外における災害と復興の取り組みの実例も紹介。コラムや災害事例年表も収録しています。

朝倉書店

編集部 渡邊麻莉子さん

無人島、研究と冒険、半分半分。

本州から約1200kmのおにぎり型の無人島、「南硫黄島」。人間が定住したことがないこの島に、20年以上ぶりに上陸した研究調査隊。果たして彼らが見たものとは――!?本書は、鳥類学者にして名エッセイストである著者によるユーモアあふれる冒険譚です。スリル満点の調査の様子はもちろん、最新の研究成果もわかりやすく解説。鳥と島、そして生物についての理解が深まります。しかも今ならパラパラ漫画もついていて大変お得!

東京書籍

出版事業部 角田晶子さん

数学にはこんなマーベラスな役立て方や楽しみ方があるという話をあの人やこの人にディープに聞いてみた本1

「数学って何の役に立つの?」「数学って何が面白いの?」という疑問は誰でも感じたことがあるはず。この疑問に答えるべく、約6年をかけて様々なジャンルの第一線で活躍する30人にインタビューしました。全3巻で構成される本書の第1巻には、美術家の野老朝雄さんや漫画家の高野文子さん、小説家の青柳碧人さん、雲研究者の荒木健太郎さん等が登場します。この本が、数学を好きになる・楽しむきっかけになると嬉しいです。

日本評論社

自然科学書編集部(数学セミナー編集部)

同調圧力
―デモクラシーの社会心理学―

日本は息苦しいと言われます。SNSが普及して便利になったものの、息苦しさに拍車がかかったような気がします。おまけに煽りや炎上など新しい事態も生まれています。本書によると、この重苦しい雰囲気を軽くするには、空気を読むのではなく、空気の構造を理解する必要があります。メカニズムを理解すればうまく付き合えます。ハーバード大講義から生まれた空気清浄機のような一冊です。モヤモヤを吹き飛ばしましょう!

白水社

編集部 竹園公一朗さん

[図説]世界の外食文化とレストランの歴史

いつもとちょっぴり違う気分を味わえる、それが外食の醍醐味。では、そもそもレストランはいつ誕生したのか? テーブルクロスはいつから使われ始めたのか? 外食は誰のためのものだったのか。古今東西、外食文化の歴史をひもといてみれば、そこには意外な人間ドラマがあふれていました。そんな歴史を感じながら、今晩は外食してみるのはいかがでしょうか?

原書房

編集部 相原結城さん

コッド岬
―浜辺の散策―

代表作『ウォールデン』の舞台が森なら、『コッド岬』の舞台は海! 今では高級リゾート地として知られるケープコッドですが、ソローが旅した19世紀の風景からは人びとの素朴な暮らしぶりが垣間見え、雄大な海の描写と相まって「本当の豊かさとは何か」を考えさせられます。ソローの細やかな視点や静謐な文章をじっくり味わえるだけでなく、道中では思わず笑ってしまうような出来事も! 読むたび新たな魅力を発見できる1冊です。

平凡社

編集部 安藤優花さん

江戸に向かう公家たち
―みやこと幕府の仲介者―

江戸時代は武家が権力をもつ時代。公家がどのように生きていたか、あまりイメージが湧かないのではないでしょうか。公家たちは京都で静かに過ごしてしていたわけではありません。江戸に向かい、時には天皇の意志を幕府に伝え、毅然と交渉しました。時には武士たちに文芸の稽古をつけ、入門者が続出することもありました。それぞれの知識や技能を発揮し、渡世をしていたのです。そんな意外にも力強い姿が本書から見えてきます。

吉川弘文館

編集部 矢島初穂さん

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