日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

京都のおもてなしの心

松本睦巳
日本たばこ産業株式会社 北関西支社長
松本睦巳

昨年、訪日外国人が初めて2千万人を突破するなど、さまざまな国籍、文化の方々が日本にお越しになりました。喫煙環境についても、国内はもちろん外国の方にも分かりやすい分煙の取り組みが進んでいます。
京都では、2012年に策定された「京都府受動喫煙防止憲章」を推進するために、全国に先駆け生活衛生の組合を中心に、事業者による連絡協議会が結成され、府市と三者による受動喫煙防止対策を推進するための協定が締結されました。
この協定に則り、飲食店を中心に各店舗の入り口に喫煙可否などを表示し、お客さまが意図しない受動喫煙に接する機会を未然に防ぐという店頭表示の推進に、官民一体となって取り組んでおられます。
そのような中でJTにおきましても、「京都のおもてなしの心」ともいえるこの取り組みに賛同し、その推進を支援するため、社員が各店舗を1店ずつ訪問し、説明ならびに店頭表示ステッカー貼付の提案活動を行っているところです。
また、JTはたばこを吸われる方と吸われない方が協調して共存できる社会の実現を目指し、さまざまな事業所さまや飲食店さまにおいて無償で分煙コンサルティングを行い、分煙を推進する活動にも取り組んでいます。
これからも京都を訪れる多くのお客さまを「京都のおもてなしの心」でお迎えできるよう、尽力してまいります。

日本たばこ産業株式会社
北関西支社=大阪市北区大淀南1-5-10 JT大阪ビル4階/Tel.06-7637-1980
http://www.jti.co.jp/

受益者視点の新しい価値を創出

鈴木順也
日本写真印刷株式会社 代表取締役社長
鈴木順也

グローバル市場経済の拡大に伴い、人々の行動や関心は国を越えて広がっています。私たちの京都には世界中から多くの旅行者が訪れます。最近はリピーターが増えており、その行動は一般的な観光やショッピングにとどまらず、地元の者が驚くほどの探求心で京都を深掘りしているといわれます。非常に喜ばしいことです。
近年はソーシャルネットワークの普及と充実により、多様なサービスの情報が目的に応じて比較的容易に入手できることも、訪問者の行動の質を高めるのに一役買っていると思われます。
ところで、私自身が世界の都市や地域を訪問して感じる点は、そのようなサービスがそれらの訪問者(受益者)のニーズに見合った内容になっている場合と、単に提供者の一方的な販売に終始している場合との間で差異が見られることです。このような問題意識は、私どものような製造業でも、マーケットイン、プロダクトアウトといった用語で論じられます。それはいかに技術的に高度な製品・サービスであっても、買い手のニーズと乖離していては単に押し売りにしかならず、商売は成功しないという議論です。
京都は多くの点で優位にある特長を生かし、従来の方法だけに縛られず異なる要素を取り入れて、受益者視点の新しい価値を創出し、訪問者を魅了し続ける都市でありたいと考えます。

日本写真印刷株式会社
京都市中京区壬生花井町3/Tel.075-811-8111
http://www.nissha.com

明るい未来社会づくりのために

武田一平
ニチコン株式会社 代表取締役会長
武田一平

昨年11月にモロッコで開かれた国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)では、地球温暖化対策の具体化に筋道がつけられ、今後さらなる再生可能エネルギーの活用や電気自動車(EV)などの普及が進むと期待されます。
当社は「より良い地球環境の実現に努め、明るい未来社会づくりに貢献する」を経営理念に掲げ、コンデンサー事業と、地球温暖化防止とエネルギーの安定供給を目指したNECST(Nichicon Energy Control System Technology)事業を生業としています。再生可能エネルギーを蓄えて使うことや停電時のバックアップを可能にした蓄電システム、温室効果ガスを排出しないEVの普及のための急速充電器や、EVの電気を家庭で活用することができるV2Hシステムなど「電気を蓄え上手に使うテクノロジー」を進化させてきました。
政府もエネルギー革新戦略のなかで方針を示しており、これからの社会は電気を自給自足する未来へと動き出そうとしています。当社は、かけがえのない地球環境を守り、次世代へと受け継いでいくために、地球環境保全に貢献する製品開発を加速させています。
歴史と文化と最先端の知性が共存する京都だからこそ醸成される創意工夫があります。お客さまに感動いただける「コトづくり」を目指した「創造業」として、京都から新しい価値を発信していきたいと考えています。

ニチコン株式会社
京都市中京区烏丸通御池上る/Tel.075-231-8461
http://www.nichicon.co.jp/

鉄道を通じた文化の発信を目指して

岩崎悟志
西日本旅客鉄道株式会社 執行役員近畿統括本部京都支社長
岩崎悟志

昨年4月29日に梅小路地区に誕生した「京都鉄道博物館」は、「地域と歩む鉄道文化拠点」を基本コンセプトに、子どもから大人まで全ての人が楽しめる生涯学習の場として、多くのお客さまにご来館いただき、昨年11月には累計の入館者数が100万人を突破いたしました。これもひとえに地域の皆さまのご支援あっての賜物と深く感謝申し上げます。京都駅から梅小路地区までの賑わいの創出と回遊性の向上を目指す「京都・梅小路 みんながつながるプロジェクト」とともに、「京都鉄道博物館」は常に新しい発見と感動を生み出し、驚きや喜びを感じていただけるよう、取り組んでまいります。
さて、今年は6月17日より、「美しい日本をホテルが走る」をコンセプトに準備を進めてまいりました新たな寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」がいよいよ運行を開始いたします。車内を彩る調度品の制作に、始終着駅の一つである京都をはじめ各地の伝統工芸の職人の方々のご協力を頂戴したほか、京都で数百年にわたり三千家の茶道具を制作している「千家十職」による車内展示も予定しています。「瑞風」の運行を通じて、沿線の豊かな歴史・文化といった魅力を発信するとともに、地域活性化への貢献の一助を果たすことができたらと考えています。

西日本旅客鉄道株式会社
京都市南区西九条北ノ内町5番地5/Tel.075-682-8004
http://www.westjr.co.jp/

先人の知恵を、現代に、そして未来へ

浜田英敏
富士ゼロックス京都株式会社 代表取締役社長
浜田英敏

本業を通じての社会貢献・文化貢献活動として複写技術を用いての「古文書の複製・復元」を始めてすでに8年になります。
これは弊社の複合機、いわゆるコピー機を活用して、極力原本に近くなるよう画質を調整し、用紙も原本に近い和紙に複写、さらに原本同様に紐綴や巻物にして仕上げるものです。画質を忠実に再現するために開発・研究部門もこの活動に加わるなど、京都で始めた地元に密着した貢献活動が、全社のCSR(企業の社会的責任)活動として全国的に展開されるようになりました。複製対象も一般の商家に伝わる家訓や家系図から重要文化財・ユネスコの記憶遺産まで、これまで約300件近くを複製し贈呈させていただきました。これら文書の原本の多くは、それ自体が重要であるため、ほとんどが厳重に管理・保管されています。これらには先人の知恵が詰まっており、複製によって多くの人が目にすることで過去の知恵が現代に生き返り、時には手に触れるなど幅広く活用されることでその価値もより生きると信じています。
この「古文書の複製・復元」活動により、過去の知恵を現在に、そして未来へ伝えられると信じ、「時を超えたコミュニケーション」としてこれからもこの活動を推進していきたいと思っています。

富士ゼロックス京都株式会社
京都市中京区三条通烏丸西入御倉町85-1 KDX烏丸ビル7階/Tel.075-255-3091
http://www.fujixerox.co.jp/ktx/

多様な交流を大切にした「地域の総合力」が必要

福永晃三
株式会社フクナガ 代表取締役会長
福永晃三

2018年より、京都市と大津市が疏水観光船を本格運行する方針でうれしい限りです。疏水完成120周年を機に、京都商工会議所では、産業遺産を生かした観光をテーマとする市民参加の公開討論会をシリーズで開催しました。それら一連の活動を「疏水と京都産業・企業」にまとめて出版いたしました。会合は、毎回盛会である一方、地元南禅寺周辺の住民の方々の合意を得るのは簡単ではありません。
しかしながら、時代変化に伴い、その価値観は再評価されており、京都創生の柱の一つになると期待が高まっています。疏水は、それぞれの時代をけん引する大きな役割を果たし、日本の近代化への先駆けとなりました。かつての観光拠点でもあり、「船頭無くして船山登る」とインクラインは解説されていたそうです。いま、地方創生は、日本経済再生のキーワードです。貴重な産業遺産である琵琶湖疏水を活用して、京都市と大津市を結ぶ広域観光が実現すれば、山科区域の活性にもつながります。同時に、先人の偉業を後世に伝え、時代に応じて生かすことも私たちの大事な仕事です。
観光分野は裾野が広く、業種も多岐にわたり、地域内の連携が不可欠です。観光文化の発展には、地域の農林漁業や製造業、商業など、内外の多様な交流を大切にした「地域の総合力」が欠かせないと考えます。

株式会社 フクナガ
京都市中京区高倉通御池上ル柊町584番地/Tel.075-221-0593
http://www.fukunaga-tf.com/

人間は地球の部品です

福井正憲
株式会社福寿園 代表取締役会長
福井正憲

旅行好きな私は、昨年の夏、8月はモンゴルとカザフスタン、9月はトルクメニスタンへと中央アジアに続けて行きました。砂漠と草原の国々で、異次元の国です。
モンゴルでは大草原の中でゲルに泊り、モンゴル式で当社の玉露を飲んだりしてみました。アフガニスタンやイランと隣接するトルクメニスタンは、永世中立国で天然ガスの資源国。首都アシガバートはお洒落な近代都市ですが、一歩はずれると砂漠と草原で、「地獄の門」といわれるガスの燃えるクレーターがあり、特に夜は、地球が赤い口を開けているようで不気味でした。そこには柵もなく、地面の硬さが身にこたえながら寝袋でキャンプし、大自然を体感した一夜でした。
若い時は都会で苦労をして、老後は大自然でのんびりしたいと考え、実行している人も多いですが、一方で、大草原や砂漠で羊や馬やらくだの放牧をして、若い時から生涯を大自然とともに生活している人もいます。都会の若い人が体力不足ですぐ座りたがるのを見たりすると、人間としての人生の幸せとは何なのかを考えたくなります。
人間は地球・自然に内在し、地球の部品であることを再度認識すべきです。年の初めに人生の目的・人間の在り方をいま一度考えたいと思います。

株式会社 福寿園
京都府木津川市山城町上狛東作り道11/Tel.0774-86-3901
http://www.fukujuen.com/

「協創」

橋詰秀彦
株式会社日立製作所 京都支店長
橋詰秀彦

近年、グローバル化や情報通信技術(ICT)の進展により、経済や社会の在り方、産業構造が急速に変化する大変革時代を迎えています。こうした変革の中で当社は、より豊かな暮らしを創造し「超スマートな社会の実現」に向けて貢献していきたいと考えています。
そのためのキーワードが「協創」です。オープンイノベーションのアプローチで、お客さまと同じ視点で、課題やビジョンを共有し、解決策やソリューションを創り上げる、協創型ビジネスモデルの展開を加速しています。また、昨年京都大学内に、未来社会の課題探索とその解決を目的とした、日立京大ラボを開設させていただきました。これは2050年の社会課題を抽出し、その解決策を導きだすと同時に経済の再生やイノベーションを創出するといった取り組みですが、まさに産学連携によるオープンイノベーションという動きです。
京都には、長い歴史と伝統、優れた文化、芸術、技術が集積しています。さらには世界に誇れる企業も数多くあり、それらが効果的に連携し新たな価値を創造していくことが重要であると考えています。協創による地域創生のために、当社の培った技術やノウハウで、微力ながら貢献してまいりたいと思います。

株式会社 日立製作所
京都支店=京都市下京区四条通烏丸東入ル 四条烏丸FTスクエア4階/Tel.075-223-5611
http://www.hitachi.co.jp/area/kansai/