ダイバーシティは進化をもたらす
- 鈴木順也
- 日本写真印刷株式会社 代表取締役社長兼CEO
最近、議論のテーマにダイバーシティが挙げられることが多くあります。一般に多様性、さまざまな種類、相違点、食い違いなどと翻訳されますが、企業におけるダイバーシティへの注目の意図は、多様性や違いが集まることで新しい成長の原動力になるということではないでしょうか。
元来、同質性を重んじることが多い日本人にとって、頭ではこの議論の意味を理解できても、それが腑(ふ)に落ちて具体的な行動に移れるかどうかは、実際のハードルは高く、むしろ比率など外見上のダイバーシティの追及に終始しがちです。
古き良き伝統や形式を継承することは確かに必要ですが、その上に座っているだけでは進化は期待できません。異質を取り入れて調整を図り、新しい価値の創出へと導く作業が未来に向けた現世代の仕事だと考えます。異質との出会いは、私たち自身が変化することを求めます。変化は進化であり、異質を拒絶することは、進化の機会を逃します。職場に異なったキャリアを持った人々が仲間入りすることで、組織の能力が進化します。私はダイバーシティについて質問されるとこう答えます。
「私とともに働く社員、つまり会社の目標に向かって進むバスの乗員には、国籍、年齢、性別、生え抜き・キャリア採用の別を問わない、重要なのはリーダーシップや専門性などの能力と、成長への情熱だ」と。
- 日本写真印刷株式会社
- 京都市中京区壬生花井町3/Tel.075-811-8111
http://www.nissha.com
居場所を探す!「磨き丸太」プロジェクト
- 中村健一
- 日本たばこ産業株式会社 京都支店長
JTでは、「たばこ」「医薬」「食品」を中心とした事業活動を展開しています。各事業では、植物を中心とした自然由来の原材料を使用しており、自然の恵みによって成り立っております。そして「事業を支えてくれている自然に感謝するとともに、京都が守り抜いてきた伝統や文化を大切にしながら、持続可能な社会を目指したい」と考えております。
現在、私たちは600年の歴史と伝統文化を誇る銘木(めいぼく)「北山杉」の「磨き丸太」の新たな利用方法を京都造形芸術大学、京北銘木生産協同組合と企画しています。
昨今の住宅は輸入材の利用増と生活様式の変化から、和室や床の間文化も衰退し、国内材はもとより「磨き丸太」の需要が激減している状況です。
このような現代社会において、本来床柱として鎮座しているはずの「磨き丸太」を、そのままベンチとして利用し、素材や本物の良さに触れて感じていただくことで、今後さまざまな場面で活用されるようになることを願っています。そして老朽化すれば木材のみ交換し、エネルギーに変換することで循環型社会が構築でき、ひいては林業や森林そのものの保全に寄与できるのではないかと考えています。
まだまだ道半ばではありますが、京都の美しい自然や伝統産業を守るため、今後とも地域に根差した活動や取り組みを実施してまいります。
- 日本たばこ産業株式会社
- 京都支店=京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク6F/Tel.075-315-0031
http://www.jti.co.jp/
すべてはお客さまのために
- 尾山英樹
- 野村證券株式会社 京都支店 支店長
野村グループは本年12月25日に創立90周年を迎えます。当社の源流は、 2代徳七が創業の精神である「顧客第一」という経営理念を柱として創業した、明治時代にさかのぼります。そして大正15年1月4日、野村證券は、84名の先達によって、大海に乗り出しました。京都支店は、時を同じくして、ここ京都の地で呱々(ここ)の声を上げ、今日まで京都の地域の皆さまとともに歩んでまいりました。野村徳七翁の創業の精神はいつの時代にも受け継がれ、いつの時代にも忘れてはならない、未来へ向けてますます緊要なものになると確信しております。
日本がデフレから脱却しインフレに転じる過程で、個人金融資産の貯蓄から投資へのシフトが想定されます。昨年導入された少額投資非課税制度(NISA)をきっかけとして、資本市場を一層活性化し、「貯蓄から投資へ」という大きな流れを促進することが、当社の役割であると考えています。少子高齢化が進む中で、日本では公的年金に対する不安や相続に対する悩みを抱え、最適な資産運用へのニーズがますます高まっています。
経済の成長や社会の発展のため、当社が貢献できる機会はさまざまに広がっています。「すべてはお客さまのために」という基本に即し、創業100周年を迎える2025年に向けて、野村證券京都支店は地域の皆さまのニーズにしっかりとお応えし、お客さまの信頼できるパートナーであり続けることができるように取り組んでまいります。
- 野村證券株式会社
- 京都支店=京都市下京区四条通堺町角/Tel.075-221-7211
http://www.nomura.com/jp/
着物が養うもの- 知恵・美・技・絆・歴史
- 由本敏次
- 株式会社パールトーン 代表取締役社長
「安心きもの」をスローガンに、きものの撥水(はっすい)加工やメンテナンスを業務とする株式会社パールトーンは、きものという商品の提供ではなく、きものに込められたソフト、すなわち、きものが内包する日本の伝統文化や、和装でこそ体感できる日本人ならではの所作や振る舞い、そしてその意味をより多くの人に知っていただきたいと考えています。つまり、きものを通して人・物・自然への感受性を研ぎ澄まし、日本人が伝えてきた種々の文化の素晴らしさをお客さまと共有することが企業理念であり、目標です。ですから、お客さまからお預かりするきものや帯は、その家の歴史や家族の思い出が詰まったお一人お一人にとっての心の宝物と考えています。それを美しく後世に伝えていくことで家族の絆を深め、家の歴史に思いを馳(は)せていただき、日本人としての感性や美意識に磨きをかけてもらえればと願っています。
「和食」や「和紙」の世界遺産登録が象徴するように、近年ことに日本的なものが世界から注目を集めています。このような気運の中、本年は「和装文化を守り、革新する」をモットーに技術、感性、機能などの点で今を生きる人々の心に適(かな)うサービスをお届けすべく、さまざまな分野での「革新」に挑戦し、きものに込められた日本の心と美と技を次代へとつないでいきたいと思っています。
- 株式会社 パールトーン
- 京都市右京区西院西中水町22/Tel.075-312-1121
http://www.pearltone.com/
父母に孝に
- 福井正憲
- 株式会社福寿園 代表取締役会長
20年ほど前、世界最大の奉仕団体の国際理事をしていたころのことです。大会で日本国旗が掲揚された時に、起立をして敬礼をしなかったことがあります。その時近くにいた外国の国際理事が、いぶかしげに私を見る視線に気付き、しまったと思いました。 戦後、日本人は国旗に敬礼する習慣を失っていることに気付きました。国旗はオリンピックのときだけのものではなく、日本の象徴として再認識しなければなりません。 また、戦前のものであっても善きものは日の当たる場所に出すべきです。例えば、教育勅語は実に素晴らしいものだと思います。「父母に孝に 兄弟に友に 夫婦相和し 朋友相信じ…」といった一節は、今の日本に必要な精神文化の核でしょう。この世に生を与えてくれたのは父母です。事情があって施設に預けられても生を与えてくれたからこそ不平も言えるのです。要は、父母のおかげで自分があるということに感謝する日本社会の縦の関係を尊重すべきと思います。 子を慈しむ父母は当然ですが、それ以上に、この世に生を与えてくれた父母に感謝し孝行をする「親を敬う」ことが人間が人間であるための条件であると思います。物質的な遺産は当然に大切ですが、日本の精神文化の根源にあった「父母に孝に」こそ、より大事であると思います。また、日本の精神文化の原点である京都こそ、こういった精神文化の育成にも行動すべきと思います。
- 株式会社 福寿園
- 京都府木津川市山城町上狛東作り道11/Tel.0774-86-3901
http://www.fukujuen.com/
人との出会いが成長を促す
- 浜田英敏
- 富士ゼロックス京都株式会社 代表取締役社長
2015年は富士ゼロックスがビジネスを始めて53年目。設立当初は米国製複写機の輸入販売会社としてスタート、その後、ものづくり総合メーカー、サービスプロバイダーと成長してきました。メーカーとして技術力・開発力を高めた結果、今ではアジアを含め全世界にゼロックス商品を提供するまでになりました。販売地域も、各地の優良企業と協力して各県に販売会社を設立、地元に密着した活動を展開しました。京都・滋賀を担当する富士ゼロックス京都は設立からちょうど35年になります。
設立以来、目指す企業像を、「つよい」「やさしい」「おもしろい」の3要素がバランスの取れた魅力ある「いい会社」であると定義しています。収益性や成長性にすぐれた「つよい」企業であることはもちろん、社会貢献や環境との調和にも考慮した「やさしい」企業であり、社員の働きがいのある「おもしろい」企業であることを経営の基軸理念として活動してきましたし、今後もこの軸がぶれることなく推進していきます。そのためには特定の人材に頼るのではなく、技術や技能が継続的に伝承され、高いリーダーシップとマネージメント力を持つ人材が次々と育つように努めることが必要です。
「さまざまな人や仕事との出会いで人は成長する」を人材育成の基本的な考え方として、今年も人を中心に活動していきます。
- 富士ゼロックス京都株式会社
- 京都市中京区三条通烏丸西入御倉町85-1 烏丸ビル7F/Tel.075-255-3091
http://www.fujixerox.co.jp/ktx/
科学技術から人と自然がともに生きる術へ
- 田宮宏悦
- 舞妓の茶本舗 会長
「東京五輪・パラリンピック」まであと5年。これを機に日本に活力が蘇(よみがえ)ってくることを願っています。特に京都にとっては、日本文化の神髄を世界に紹介する好機。さまざまな期待に胸が膨らみます。その一方で、東日本大震災による爪痕はまだ癒えず、加えて御嶽山の噴火や中国地方の土砂災害など、次々に自然災害に見舞われ、その都度人間の非力さを実感しました。また、悲惨な事件、陰湿ないじめなどが耳目に触れるたび、日本の精神文化とは何であったのかと考え直さずにはいられません。
古来日本では山川草木すべてのものに神が宿り、仏性が備わっていると信じて自然を敬い、畏れ、ともに生きる術(すべ)を養ってきました。そして、その術こそ日本の伝統であり精神文化です。しかし今、神仏よりは科学技術を信じ、その技術をもって自然と対決するという考えが蔓延(まんえん)し、その結果、猛威を振るう自然を前に敗北感を抱くといったありさまです。人の心も同様に、互いを認め敬いながら「共生」することを忘れたため、種々の問題が生じてしまうのではないでしょうか。
私が生業(なりわい)としている茶業も、技術よりも茶の木を慈しみ育てる心が最も大切な「術」なのです。その慈育(じいく)の心で日本と世界をもう一度見つめ直したいと思っています。
- 舞妓の茶本舗
- 京都府京田辺市普賢寺上大門2-1/Tel.0120-71-0077
http://www.maiko.ne.jp/