日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

「気づかされる」 ということ

里雄康意
真宗大谷派(東本願寺)宗務総長
里雄康意

周りのことを考えて生きている、つもり。できるだけまじめに生きている、つもり。自分は決して間違っていない、つもり。その「つもり」は本当に確かでしょうか。

毎日、さまざまな出来事が起きます。その都度、一喜一憂──あるいは無関心。泡沫(ほうまつ)のように費消されていく「時」「人」「つながり」。ふと「むなしさ」を覚える。それでも、がんばるしかない、のか。
自分で一所懸命考えた、まじめに考えた。この感覚への執着心は深い。でも、人生の本当の安らぎは、自分で自分を固める生き方には、あり得ません。
「気づかされる」ということが、人生には必ずあります。大いなる生命のはたらきに、気づかされるときが当来している。まさに今、私たちは「未来」から呼びかけられているのです。「その生き方で、むなしくはないですか?」

深刻な問題をいくつも抱え、方向が定まらない。そういう混迷の時代を、逃げずに生きるしかない。その真っただ中では、「気づかされる」ことだけが、この私を本当に歩ませてくれる。大事な「気づき」を与えてくださるもの、それが「南無阿弥陀仏」である。
気づかされて、歩もう。

──人生は円をえがいて現在する。現在から未来にまわって、過去をおさめて現在にかえる──(曽我量深)

真宗大谷派(東本願寺)
京都市下京区烏丸通七条上ル常葉町/Tel.075-371-9181(代)
http:///www.higashihonganji.or.jp/

超高齢時代を健やかに いきいき生きる

田辺親男
親友会グループ 会長
田辺親男

日本は世界有数の長寿国です。長寿国のランキングはこれまで平均寿命をもとに決められてきましたが、2000年にWHO(世界保健機関)が「健康寿命」という新たな指標を打ち出しました。この健康寿命は、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせずに、健康で自立した日常生活を送ることができる生存期間のことです。日本人の平均寿命は男性が79.59歳、女性が86.35歳。健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳とのことです。これを差し引きすると男性9.1年、女性12.7年となり、あくまで平均ではありますが、この年数が自立できない期間となります。この期間がゼロに近づくことが理想で、健康寿命が延びて国民みんなが健やかに長生きできれば、国力がアップします。
私ども親友会グループは、23年前から予防医学に着目し、病気の早期発見・早期治療の重要性を説き、人間ドックや高度先進の画像検査を提供しています。医学・医療は年々目覚ましく進歩しており、今や病気を早期に発見できれば、ほとんどが治癒する時代になりました。若い人からお年寄りまで、幸福度を高め、人生を楽しく過ごされ、いきいき生きるためのお手伝いをさせていただきます。加えて社会資本である医療機関の使命を果たし、今後とも医療を通して社会に貢献していきたいと思っております。

親友会グループ
京都市中京区西ノ京下合町11 御池クリニック/Tel.075-823-3000
http://www.shin-yu-kai.jp/

高い「志」をもった グローバル人財の育成を

佐々木喜一
成基コミュニティグループ 代表兼CEO
佐々木喜一

昨年より私は安倍総理直轄の「教育再生実行会議」の委員を拝命し、活動しております。この会議の発足にあたり、安倍総理は「世界トップレベルの学力と規範意識を身につける機会を保障する」ことを掲げておられます。実際に日本の中高生の6割が「自分はダメな人間だ」と思っているという調査結果がありますが、このことこそが、今の日本の教育が抱える問題の根源ではないかと思うのです。
一方で、グローバル人財の育成が今の日本の喫緊の課題として、さまざまな場で議論されています。グローバル社会においては、日本人一人一人が、まさに日本代表として、世界を舞台に活躍していく機会が今後ますます増えることでしょう。
そのためには英語や学力も、もちろん必要かも知れませんが、それ以上に、日本人としての高い「志」をもった生き方を、自尊心や自負心、そして自己を肯定し自信をもって貫くことが必要ではないかと私は思うのです。
成基コミュニティグループでは、グローバル人財の育成を目標とした「UP JAPAN PROJECT」を今年からスタートいたします。
教育を通して、「志」を胸に、グローバル社会を生き抜く有為な人財を育成してまいります。どうぞご期待ください。

成基コミュニティグループ
京都市中京区烏丸通二条上ル蒔絵屋町265-2 SCGビル/Tel.075-256-8800
http://www.seiki.co.jp/

夢と責任ある教育を

田中誠二
学校法人大和学園 理事長
田中誠二

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まり、多くの人が胸を躍らせ、日本全体で「前へ進もう」といういい風が吹いています。また「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことは、京都が改めて日本の食文化の首都として評価される大変意義あるものです。
しかし一方では「約束したことを実行すること」や「文化を継承すること」など、期待を裏切らない取り組みがわが国に求められ、まさにその手腕と技量が問われるものであると思います。今一度、私たちが大切に伝え育んできた古き良き心を見つめ直す機会なのではないでしょうか。質素倹約の中に自然を愛でる心や、お互い様の気持ちをもって隣人との絆を大切に思う心、神仏を尊ぶ心など私たちが忘れかけた心は、自然や環境と共生しながら持続可能な社会の発展を目指すという世界共通の課題に対して人としての生き様、地域のあり方を示唆してくれるものではないかと思う次第です。
社会の一員として、また職業教育に携わる身として、次世代を担う若者への思いやりの心やおもてなしの心の継承と併せて、変化を先取る教育を実践していきたいと考えています。そして、社会の幸福度向上に貢献できるよう「意志と覚悟」をもって果敢に挑戦したいと思います。

学校法人 大和学園
京都市中京区河原町三条上ル/Tel.075-241-0891
http://www.taiwa.ac.jp/

「ひと粒のタネから 広がる未来…」

瀧井傳一
タキイ種苗株式会社 代表取締役社長
瀧井傳一

「播(ま)かぬ種は生えぬ」私たちが日々食する野菜も美しい花々も基となる種がなくてはつくることができません。種苗業はその基である種を扱うことを生業(なりわい)としています。 通常、一品種つくるのに10年かかるといわれます。育種とは10年先、20年先にどのようなものが求められ、世の中に受け入れられていくのかを予測し、それに向かって一段ずつ積み上げていく作業です。近年はIT分野をはじめとして技術革新が進み、生活や産業のあらゆる局面でスピードが重要な要素となりました。農業や育種の世界でもスピードが求められて久しいです。しかし、農業とは本来ゆるやかで地道な作業の積み重ねによって豊かな稔(みの)りを獲得する営みです。 古来、農業は日本人の精神性や文化を育む上で大きな役割を果たしてきました。スピード優先の時代だからこそ、そんな日本人の深いところにある四季の移ろいを感じ、一つ一つ小さな歩みを大切にする心がきっと必要になります。 「ひと粒のタネから広がる未来…」豊かな食文化の創造と潤いのある生活の実現のために、豊富な遺伝資源と確かな技術、そして農業への愛情をもってこれからも地道な努力を続けていきたいと考えています。

タキイ種苗株式会社
京都市下京区梅小路通猪熊東入/Tel.075-365-0123
http://www.takii.co.jp/

「良心教育」の伝統のもと 京都から世界へ

山田史郎
同志社大学副学長・国際連携推進機構長
山田史郎

新島襄が1875年に創立した同志社大学は、「良心を手腕に運用する人物の育成」という建学の精神に基づいて、3つの教育理念「キリスト教主義」「国際主義」「自由主義」により、良心教育を展開しています。
若くしてアメリカで勉学に励んだ新島の実践と理想を尊び、国際教育を推進している本学では、開学以来130年以上にわたり自分とは異なる価値観や立場の人たちに対し豊かな感受性を持ち、自分の責任と判断で行動できる人物を育成してきました。
2009年に文部科学省の「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(グローバル30)」に採択され、英語による学位取得可能なプログラムの構築、留学生受入体制の整備を進めてきました。2012年には「グローバル人材育成推進事業(Go Global Japan)」にも採択され、「留学型」 「国内型」の2つからなる教育プログラムを用意しました。「留学型」には短期から長期までの豊富な留学プログラムを、「国内型」には英語力強化などに向けた実践的教育を行っています。
これからも、同志社大学は、伝統と革新が共存する国際都市・京都で、多様性への感性、寛容の精神、自立心を持ち、21世紀のグローバル社会のあり方について、世界の人々と対話しながら探究する意欲と能力のある人物の育成を目指していきます。

同志社大学
京都市上京区今出川通烏丸東入/Tel.075-251-3120
http://www.doshisha.ac.jp/