「あ そ び 」を楽しむ

藤井健志
株式会社藤井大丸 代表取締役社長

京都は歴史や文化などが生活の中でユニークに融合し、絶えず変化を力に、価値に変えて深化してきた街です。そんな街とともに歩み続け藤井大丸は今年創業150年を迎えます。
近年の京都は環境変化をうまくいかせず、ユニークな街並みが現在の消費の中で劣化し、情報の偏りのため均質化し、魅力が薄れつつあると感じます。そんな環境に流されず、シンプルに、新しい価値の組み合わせやファッションの楽しさを提供し続ける、ユニークな存在であることが藤井大丸の役割であり、この街に愛され続けるために必要なことだと考えています。
皆が同じ方向や目標を目指す量的成長や、効率を追求する時代は過去のものです。人口減少は当面続きますが、個人の相対的な価値は高まり、より輝きやすくなります。「個」をいかしながら「衆」との新たなつながりを模索する時代です。さまざまな技術の発展で社会や自然とのつながりが変化し、「広く・浅く・遠く」つながることができる便利な環境だからこそ、「狭く・深く・近く」つながることと、不便や不自由も楽しむことが重要になります。過度な情報に溺れて小難しく考えず、もっと感覚的に、本能的に、シンプルな幸せを追求する時代です。
「あそび」を楽しむ、違いも楽しむ、無駄も楽しむ。
これからも京都を思いきり楽しんでいきたい、皆さまとともに。