日本人の忘れもの 知恵会議  ~未来を拓く京都の集い~

「this is japan.」を合言葉に

瀬良知也
株式会社ジェイアール西日本伊勢丹 代表取締役社長
瀬良知也

2017年、ジェイアール京都伊勢丹は、おかげさまで開店20周年を迎えます。日本の伝統と文化の玄関口、京都駅に店を構えてはや20年。昨年は京都鉄道博物館の開館とともに多くのお客さまにご来店いただくことができました。一昨年から、私たちは「this is japan.」という合言葉を掲げ、これからの店をつくりあげていく、意思と行動の基盤としています。それは日本の四季に育まれる五感を働かせた、ものづくり、品ぞろえ。お客さまを笑顔でお迎えするのも、お客さまがお求めになるものを察するのも、それら一つ一つのもてなしを整えるのも、日本の五感です。
20周年幕開けの新春祭ビジュアルは、本年120周年の佳節を迎えられる京都国立博物館の所蔵「百鳥文様打掛」のイメージをもとにしました。これは明治初期に京都画壇の中心として活躍した幸野楳嶺の下絵によるものと伝えられています。お客さまやお取引先さまと真摯に向き合い、これからもこの地で羽ばたき続けられるよう新たな風を起こす決意を表しました。日本で最も美しい四季を彩る京都で、私たちの五感、行動のすべてに磨きをかけ、多くの笑顔と出会える特別な一年として、さらにご満足いく百貨店を目指してまいります。

株式会社 ジェイアール西日本伊勢丹
京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町/Tel.075-352-1111(代)
http://www.wjr-isetan.co.jp/

「美しく生きる」

湯淺圭一
ジーク株式会社 取締役社長
湯淺圭一

今再び資本主義の危機が叫ばれています。成長経済には限界があり、租税回避する企業や不正で利益を挙げる企業など、企業の倫理問題や環境問題、格差社会など数多くの問題が挙げられています。
少子高齢化による家族制度は崩壊の危機を迎え、安全保障や通商に関する国際関係には各国間のさまざまな利権が絡み合い、経済活動にとどまらず大きな影響を及ぼしています。これまでは「多くの問題は科学技術が解決してきた」そういう思いが強いのではないかと思います。これからは「より多くを求める」のではなく、「美しく生きる」ことが大切なことではないでしょうか。日本は海に囲まれた島国で、外部からの侵略もなく、過酷な統治者もなく、民衆も酷い生活を強いられることはなかったのではないかと思います。こうして穏やかな自然と風土に恵まれ、心豊かな独特の文化が形成されてきたように思います。多くの外国の観光客も神社仏閣だけにとどまらず、「日本の優しさや美しさ」といったものを求めて来訪されているように感じます。
絶え間ない変化の時代にあっても代わらないものもあります。変化の時代にあっても守るべきものはしっかりと大事にしたいと思います。
科学技術では及ばない「叡智」こそが今問われ、試されているのではないでしようか。

ジーク株式会社
京都市南区吉祥院新田弐ノ段町33/Tel.075-681-0511(代)
http://www.zycc.co.jp/

革新は止まることなく

村尾 修
株式会社 GSユアサ 代表取締役 取締役社長
村尾 修

当社は今年から来年にかけ、母体である日本電池とユアサコーポレーションの設立から数えて100年目を迎えることになります。当社が蓄電池という製品に特化し、100年間事業継続できたことは、絶え間ない革新の下、環境の変化に柔軟に対応し、新たな価値をもたらす努力を怠らなかった結果であると感じています。
21世紀の今日、およそあらゆる機械・機器は電気で動き、それらの多くには電源として蓄電池が使われています。また、省電力や環境負荷低減が大きな社会的課題となっている中、蓄電池の果たす役割はかつてなく大きくなっています。
当社の製品においても、ハイブリッド車や電気自動車などのエコカーから、国際宇宙ステーションにいたるまで活躍のフィールドを広げ、あらゆる場所でエネルギーマネジメントの一翼を担っています。
新技術を開発し、新市場を開拓する。私たちが創業以来繰り返してきたこの革新は、私たちが受け継いできたDNAであり、そのDNAは、いまや17カ国、38拠点に広がり、1万5千人におよぶ社員一人一人の心に受け継がれています。
企業は常に世の中から必要とされる存在でなければなりません。GSユアサはこれからも、人と社会と地球環境に貢献してまいります。

株式会社 GSユアサ
京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地/Tel.075-312-1211
http://www.gs-yuasa.com/

先人の知恵に学び、全てはお客さまのために

丹羽 亨
株式会社大丸松坂屋百貨店 執行役員大丸京都店長
丹羽 亨

おかげさまで、大丸は今年創業300周年を迎えます。
1717年に伏見の小さな呉服商から始まり今日まで、「先義後利」の社是の下、京都の皆さまと共に発展してまいりました。年頭にあたり、あらためまして深く感謝申し上げます。
さて、300年間には実にさまざまなエピソードが記録として残っていますが、ここでは1783(天明3)年に店主からお取引先さまへ、商品の買い付けに出向いた店員に関する注意書として託された書簡をご紹介したいと思います。 1)商品の買い付けに際し、店員の買い方が乱暴であったりした場合は、遠慮なく京都店へ報告してください。 2)朝夕の食事は粗食で、豪華な食事や酒などの接待は一切ご無用。 3)出張中の物見遊山などは論外、用事が済んだらすぐに店に戻るようお心添えをお願いします、などなど。末尾には少しでもこのような振る舞いがあった場合には、先さまとの取引自体を停止する、という強い店主の意思で締めくくられています。コンプライアンスという概念など皆無だった時代の、時空を超えた「戒め」として心に響く言葉です。
先人の知恵に学び、今一度襟を正して「全てはお客さまのために」お取引さまと共存共栄を目指してまいります。

株式会社 大丸松坂屋百貨店
京都市下京区四条通高倉西入立売西町79/Tel.075-211-8111
http://www.daimaru.co.jp/kyoto/

創立55周年を迎えるにあたり

佐々木喜一
成基コミュニティグループ 代表兼CEO
佐々木喜一

2017年5月、成基コミュニティグループはおかげさまで、創立55周年を迎えます。「日本の歴史と伝統に誇りをもち、国際的視野と教養を身につけた人財の育成をもって、この国の発展に寄与すること」。弊社の「設立趣意書」に記載され、創立以来、一貫したこの基本理念は、同時に私たちの志でもあり、教室現場における子どもたちへの指導をもって体現してまいりました。
2013年より委員として活動している安倍内閣直轄の諮問機関「教育再生実行会議」では、これからの新しい教育の形を描き、実践していくためにさまざまなテーマで議論、提言を行っています。その中においてもこの基本理念、また「設立趣意書」に記載されている内容はぶれることなく、その多くがシンクロしております。このことは大きな自信になると同時に、果たすべき社会的役割の重要性を改めて認識することとなりました。
私たちは創立50周年時に、次の50年に向けた新たな“志”として、全従業員の思いを込めた「成基100年構想」を掲げました。その中の「世界中の人々を幸せにする人財輩出機関 日本一」は、まさに創立以来の理念を具現化する、究極の“志”です。
55周年を迎える今年、私たち成基コミュニティグループは、これまで以上に目の前の子どもたちに全力で関わることを通して、みなさまの信託に応えてまいります。どうぞご期待ください。

成基コミュニティグループ
京都市中京区烏丸通二条上ル蒔絵屋町265-2 SCGビル/Tel.075-256-8800
http://www.seiki.co.jp/

「如何に売るか」より「如何にあるか」

続木 創
株式会社進々堂 代表取締役社長
続木 創

「日本人の忘れもの知恵会議」にて京都を代表する識者の皆さんと接する機会を与えられておりますこと、心より感謝いたします。
中でも、11月7日の会議で、時田アリソンさん(日本伝統音楽研究センター所長)が「京都は何かを『発信しよう』とする必要はない。京都が京都であり続けること自体が世界へのメッセージではないか」とおっしゃったときには、とてもハッとさせられました。
最近イベントに大勢を動員したり、雑誌やメディアに取り上げられることを至上の価値とするような風潮が強まっていませんか。もちろんキャンペーンやイベントも大切。しかしもっと地に足の着いた、京都に住む私たちの日々の営みの豊かさやユニークさこそが、京都という街が世界に発信すべきメッセージであるという時田さんの考え方に、私は大いに共感を覚えました。
数百年の歴史を生き抜いた数ある京都の老舗の共通点は「如何に売るか」よりも「如何にあるか」を大切にしてきたこと。短期的な繁栄より自身のあり方そのものにこだわるのが京都流なんですね。
私たちは統計数字やメディアのランク付けなどに一喜一憂するのではなく、自然を愛し伝統を大切にしながら常に未来に向かって革新を続ける、そういう京都のあり方を大切にしたいと思います。私ども進々堂も、パン造りを通して豊かで健やかな京都の食文化の創造に貢献できるよう、今年も精進いたします。

株式会社 進々堂
京都市中京区竹屋町通寺町東入る藤木町33/Tel.075-221-0056
http://www.shinshindo.jp/