未来志向のための 原点回帰
- 田中誠司
- アサヒビール株式会社 京滋統括支社 支社長
2014年、アサヒビール創業125年、ニッカウヰスキー創業80年を迎えます。創業者のアサヒ鳥井駒吉とニッカ竹鶴政孝に共通することは、日本酒づくりから始まり、世界品質のビール・ウイスキーづくりに挑戦してきたことです。鳥井、竹鶴のチャレンジスピリッツは受け継がれ、最高の品質でお客さまの満足を追求していきたいという精神が、今も社員一人一人の心の中にあります。
創業の精神でもう一つ忘れてはいけないことがあります。それは、社会やお客さまへの心のこもった誠意ある行動です。鳥井が多数の事業から得た教訓を「信為萬時之本(まことこそばんじのもといなり)」の6語にまとめました。京都府の文化財保護、滋賀県の琵琶湖の総合保全活動、京都マラソンへの協賛、古典の日推進など地域社会への貢献などにその精神が繋(つな)がっています。
私たちが忘れてはいけないことはたくさんあります。「品質への挑戦」 「心のこもった行動」という、創業者の思いや起業の原点を常に心の真ん中にして、日々の活動を行っているのか、自問自答し続けていきたいと思います。そして、地域のお客さまにとって、なくてはならない会社を目指したいと思います。
- アサヒビール株式会社
- 京滋統括支社=京都市下京区水銀屋町612 四条烏丸ビル8階/Tel.075-212-6300
http://www.asahibeer.co.jp/
日本を知って おもてなしを
- 千 宗室
- 裏千家家元
東京オリンピック・パラリンピックの開催決定や、「和食;日本人の伝統的な食文化」のユネスコ無形文化遺産への登録など、日本に対する世界各国の関心が高まることを大変喜ばしく存じます。
日本を知りたい、日本の心を知りたいと諸外国から来訪される方々に対して、「サービス」ではなく「もてなしの心」で接するためには、「もてなそう」と無理をするのではなく、まずは日本人が、日本の歴史や文化に触れることが大切です。
そして「思いやり」と「感謝」の心が自然にはぐくまれていくよう、教育はじめ多様な取り組みが進められることを願っております。
利休居士より受け渡されてきた茶の湯は、心の中にある「三毒(貪欲(とんよく)、瞋恚(しんい)、愚痴(ぐち))」を捨てて一碗(わん)の前に座するところから始まります。
この根本を通して、さまざまな日本文化に触れていただくとともに、多くの方々に日本の心を伝えられるよう努めてまいりたいと思います。
- 裏千家
- 京都市上京区小川通寺之内上る/Tel.075-431-3111
http://www.urasenke.or.jp/
京都のモノづくりにおける 二つのこだわり
- 立石義雄
- オムロン株式会社 名誉会長
オムロン株式会社は、おかげさまで2013年に創業80周年を迎えることができました。1933年に大阪で立石電機として創業後、1945年に京都・御室(おむろ)の地へ工場を移転。その後、工場を本社にするとともに、地名に由来するオムロンを商標として、ファクトリー・オートメーション(工場の自動化)市場を開拓して以来、日本の製造業の発展に貢献し続けてまいりました。また、日本で初めての「自動改札機」や「自動券売機」を生み出し、駅のオートメーションを実現。さらに「自動血圧計」によって家庭で血圧を測定する生活文化を創り出してまいりました。
このようにさまざまなオートメーションを創り出してこられたのも、京都のモノづくりにおける二つのこだわりのおかげであるとあらためて感謝しております。一つ目は誰もがやっていないモノを創造することへのこだわり(独創性)。二つ目は技術や方法を工夫して誰よりも一歩先んじたモノづくりに対するこだわり(先端性)です。
オムロングループとしても、京都で教わり、培ってきた二つのこだわりを継承しながら、センシング&コントロール技術にさらに知恵を加えて、変わりゆく社会のニーズに応える、あたらしいオートメーションの事業創造にチャレンジしてまいりたいと考えております。
- オムロン株式会社
- 京都市下京区塩小路通堀川東入/Tel.075-344-7100
http://www.omron.co.jp/
気付きの心
- 中西浩一
- 株式会社オンリー 代表取締役会長兼社長
物があれば売れるという時代から、価値あるものが売れる時代へと変わり、昨今では物においては専門性が問われ、またそれらを取り巻くサービスを含めた全体感で買い手が判断する時代へと移り変わってきました。
しかしそれは古くから京都がずっとやってきたことで、規模の大小に関係なく、本当に良い物を、適した値段と心温まるサービスで手に入れることができる喜び。
京都に根付く本物の価値だと思います。
日本人は昔からきれい好きで、清潔を愛し、それは建物や造園、料理や衣服にも表れており、また道徳感覚にも繋(つな)がっています。
茶道の「和敬清寂(わけいせいじゃく)」という言葉、流行語大賞の「おもてなし」という言葉は、まさしく京都の、日本人の心を表し、それがこれからの接客サービス業の軸になると思えてなりません。そして日本が世界に対して誇れることの一つであると思います。
「日本人の忘れもの」とは何かと考えるなかで、あらためて京都の良さを認識いたしました。
京都のスーツ屋として、京都に根付く本物の価値観を学びながら、より一層、物とサービスの両方を深める努力をしてまいります。
- 株式会社 オンリー
- 京都市下京区烏丸通松原西入ル玉津島町303/Tel.075-354-4129
http://www.only.co.jp/
未来を創造する
- 柿本新也
- 柿本商事株式会社 代表取締役社長
齢(よわい)60を超し、私は事業継承の準備を始めました。今の時代は変化も大きく、スピードも速い。しかも世界的視野で物事を分析する能力も必要だと、私は真摯(しんし)に受け止めていますから、今までの延長線上では決して企業経営もうまくいかないと思っています。
会社ではいろいろと問題が発生します。その時に社員と一緒に考え、それを分析し解決していくことは、彼らが成長する上でのビックチャンスであります。イレギュラーな問題を解決していくことが多いから、まるで道元の『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』そのものだと言えなくもありません。
スピーディーに情報収集し、分析し、判断を下す能力が経営幹部に要求されます。未来を予測することは難しいことですが、高度なストラテジーを実行に移すためにはそれも必要です。
2010年に創設した『恋文大賞』には、全国各地の老若男女からたくさんの手紙が届きます。今では学校単位の応募が6割を占めるほどになりました。学生の応募作品からは家庭教育や学校の取り組みが見事に読みとれます。手を動かし文を書くという行為は、頭の中も整理でき、論理性が明確になり、コミュニケーション能力も高まります。創造性を高め、人を成長させる重要な教育の一つと思っています。
人は一生を懸けて未来を創造するのかもしれません。
- 柿本商事株式会社
- 京都市中京区寺町通二条上ル/Tel.075-662-0131
http://www.kyoto-kakimoto.jp/
京漬物の 役割と使命
- 平井誠一
- 京つけもの西利 代表取締役社長
日本では、さまざまな地域がそれぞれの風土に応じた素晴らしい食文化を持ち、それらを食すことが健康への近道であると思われます。京漬物も京の食文化に育まれ、全国でも珍しい独特の発展をとげてまいりました。また昨年は、「和食;日本の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録決定され、和食に対する期待がふくらんでいます。この機会にいま私たちが何を食べるべきなのかを漬物を通して伝えていきたいと思っています。
漬物は、もともと野菜と乳酸菌を体に取り入れるのに有効的な発酵食品として、体の調子を整える大切な役割を担ってきました。
伝統食品としての醗酵(はっこう)漬物を研究し続け、西利が注目したラブレ乳酸菌は、免疫力向上と腸内の有害細菌の増殖を抑えることが確認されている素晴らしい乳酸菌です。この乳酸菌を活用して生まれた西利の健康漬物乳酸菌ラブレシリーズをもっと食べやすいかたちで皆さまに提供していくなかで、漬物屋としての使命を果たしていきたいと願っております。
また、漬物づくりに欠かせない良質の野菜の確保は私たちの重要な課題です。契約農家の皆さまと共に京つけもの西利は、「旬 おいしく、やさしく。」のテーマのもと、漬物を通じて皆さまの食と健康を守るために、伝統食と農業の維持発展に使命感をもって臨んでまいります。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
- 京つけもの 西 利
- 京都市下京区堀川通七条上ル西本願寺前/Tel.075-361-8181
http://www.nishiri.co.jp/