子宮の入り口にできるがんです。主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)で、性経験がある人の約80%が生涯に一度は感染すると推測されています。たいていは自然に排せつされるのですが、感染状態が長く続くと前がん病変を経てがん化する人がいます。日本での年間罹患数は78人に1人で、332人に1人が死亡しています。(※1)死亡者数は2000年から増加し続けており、特に30代以下の世代に増えています。初期はほぼ無症状で、気付いた時にはかなり進行してしまっていることも多いです。年齢が若いと早くがんが進行してしまうこともあります。
HPVへの感染が長期間にわたるとがん化
治療は手術、抗がん剤、放射線療法などを行いますが、がんが進行していると術後にむくみや尿漏れなどの副作用や、妊娠しにくい、流産しやすくなる場合があります。HPVはありふれたウイルスなので予防が難しく、性経験前に持続感染を防ぐワクチンの接種が望ましいのですが、そうでなければ検診による早期発見でがん化する前に治療することが重要になってきます。対処が早いほど、治る可能性が高いがんだからです。ただ、2016年度の京都府における検診受診率は12%、京都市は7.9%、私が診療している舞鶴市も17.4%と低率です。女性にしかできない妊娠・出産という素晴らしい経験を安心して迎えていただくためにも、早期発見が大切です。
早期発見すればほぼ治る
検診は子宮の入り口を柔らかいポリエチレンのブラシでなでるだけですから簡単で、「もう終わったの?」と驚く人もいます。インターネットに書かれた「検診は痛い」「がんじゃなかったら無駄」などという否定的な意見をうのみにするのではなく、実際に対面して専門医の話を聞く方が正確です。「怖い」とは思わず、婦人科(※2)を訪れる勇気を出してください。検査をして何もなければ安心できますし、他の婦人科疾患を発見できる可能性もあります。また、生理や体調に悩みがあれば相談もできます。婦人科医はいつでも女性の味方です。女性が女性としてのQOL(生活の質)を生涯にわたって充実したものにしてもらうためにも、ぜひ皆さんも自分の味方を見つけて、2年に一度は受診してください。
産婦人科医は女性の味方
※1 国立がん研究センターがん対策情報センター、2017年調査
※2 京都産婦人科医会ホームページ(kyoaog.jp)で、最寄りの医療機関が調べられます。